着物着方教室についてのアレコレ

わたしは2~3年まえ、着物着方教室に3ヶ月間通っていました。
そこでの話にくわえて、じっさい教室って必要なの? という直球の疑問についても、いろいろ書いてみたいとおもいます。

着物に惚れたきっかけ

わたしは3年くらいまえに着物をはじめました。
きっかけは、その数ヵ月まえに、上野公園で着物姿の女性を見かけて、そのかわいさにひとめぼれしたこと。
当時は着物に詳しくなかったので、はっきりとはわからなかったですが、記憶をたぐってみると、たしか着ていたのは青っぽいかたもの(お召しや紬などすこし固い着物のこと)か、もしかしたらデニム着物だったかもしれません。靴はコンバースを合わせていて、ちいさなキャメル色のリュックを背負っていました。きれいなボブカットに、帽子も合わせていたように記憶しています。いわゆる和洋折衷コーデですね。
それを見てはじめて「着物ってこんなにかわいく着られるんだ……!!」と衝撃を受けたのでした。

そこからすこしずつ着物熱が高まって、「わたしも着物が着たいなー」とおもうようになりました。

教室があった!

春になり、なんだかテンションもあがって、調子もよくなってきたころのこと。
なんとなく、着物を着るのってどうやってやるんだろう、いちから教えてくれる着物の教室なんてないのかな、とおもい、ネットで調べてみました。
検索のトップに、着物着方教室の広告が表示されたので、ポチっと開いてみたところ、その内容にびっくり。3ヶ月4000円(ワンレッスン500円)という比較的良心的な価格で、着物など必要な道具は貸し出しがあるので特別な持ち物もほぼなしで、着物のイロハが教えてもらえる、というものでした。
しかも家から数駅先の駅チカに教室の1つがあることが判明。
わたしは単純な人間なので、「これはもう行くしかない」「もはや運命」みたいな頭にすっかりなってしまい、フォームからいきおいで見学予約をしました。(これがのちに後悔の1つとなることに……)

体験レッスン

当日にやったのは、体験レッスンだったとおもいます。
先生に言われるがまま、貸してもらった着物一式をじぶんで着てみて、なんとかさいごまでできたー! やったー! となりました。
(いまかんがえると、「これならできそう」とおもってもらうためのシステムだったんでしょう。)
このときわたしはある違和感をおぼえていたのですが、それがうまく言語化(思考化)できないまま、とりあえず入会手続きをして、その日のうちに4000円を支払いました。決断が早い。というか、もうこころのなかで「ぜったいここ!」と決めていたんですね。先生もいいひとだったし、とくに問題ないな、とそのときは判断しました。

販売会が怖い

いっぽうで、強烈な不安もいだいていました。
というのは、あの悪名高い『販売会』です。
着物教室と聞くと即これをおもい浮かべるかたも多いのではないでしょうか。
わたしもそれが怖くて、選んだ教室について、事前にネットで調べました。レビューや感想などはほとんど見つからなかったのですが、ひとりのかたがXで「あそこは販売会はあるっちゃあるけど、そこまでひどくない」と書いているのを見つけました。
あるっちゃある。でも、そこまで強引でないなら、まあいっか。とはおもうものの、それでもやはり怖いです。
なのでまず「着物持ってないなら、1着くらい仕立てたらいいじゃない~」などと言われるのではないかと予想し、それをさらりとかわすために、とりあえずあらかじめネットで比較的安いプレタ着物を買って持っておくことにしました。
道具なども、教室で割高な値段で買わされるくらいなら、と、ネットで揃えてしまいました。(じっさいは教室で買ってもそこまで大差ないか、むしろ教室のほうが安いものもあった。これも後悔のひとつです。焦りすぎた……笑)

じっさいのレッスン

これで準備は万全! ということで教室に通いはじめました。
わたしはむだにまじめくんで、練習熱心であるので、先生に教えてもらったことは家でちゃんと復習しまくったし、教室のYoutubeを見て予習も完璧でした。
なのでレッスンでつまずくことはまずなかったです。(たぶんそこまでしなくても大丈夫だったとおもう)
先生はやさしく穏やかなかたもいれば、ちゃきちゃきのお姉さまもいたし、意外とスポーツマン系のかたもいました。
まあなんだかんだ客商売ですし、いやなことを言われたりはなかったです。たんたんと必要なことをちゃんと教えてもらえるかんじでした。

教室のカラー

でも、次第に当初おぼえた違和感が形になってあらわれはじめました。
というのもその教室は、「しっかりめの着方を練習する」のが特徴のお教室だったそうなのです。
わたしはあとになって、たんす屋のお姉さんから聞いてはじめてそのことを知りました。教室ごとにカラーがあるなんて、当初はかんがえもしませんでした。
さいしょに書いたとおり、わたしが憧れた着物は『和洋折衷カジュアル着物』です。
格や厳密なルールにのっとった、お茶会とかにも行けそうなしっかりかっちり着物、ではなかったのです。
よくかんがえると、わたしが通う教室の先生たちはみなかっちりと着物を着ていました。
そんなことは見学の時点でわかっていたはずなのに、その場のいきおいで、違和感を無視してしまったんですね。
なので、「これはちょっと失敗したなー」とおもいました。ここではわたしがやりたいことはできないじゃないか、と。

けっきょく販売会→退会

それはさておき。
レッスンの初日だったかな、比較的早い段階で、今後のスケジュールについての話がありました。
「この日には、レッスンはないけど、たくさんの着物が見られますよー」みたいに言われた日があって、予約制だったのですが、わたしは都合が悪いなどとウソをつき、その日おやすみすることにしました。
いやな予感がしたからです。たぶん販売会だ……とおもいました。(レッスンがないなら行く意味ないな、ともおもった。)
もちろん、たくさんの着物を見られるのは、目を肥やせるいい機会であって、魅力的ではある。けど、わたしはそもそもお金がない。
お金が多少でもあるひとなら、そうして多くの着物のなかから気に入ったものがあれば、買うのだってぜんぜんいいでしょう。
しかしわたしは、元手となる資金がゼロ。その状態でそんな場所に果敢に挑んでいくのは無謀すぎますよね。
もし断りきれなかったら? お金もないのに断れない。にっちもさっちもいかない。そんな絶望的な状況をかんがえただけで、ゾッとしました。
というわけで、その日はしれっとスルーしました。

後日おなじ時間にレッスンを受けている主婦のかたから、その日のことを聞きました。彼女は地方から出てきたばかりだと言っていたかたで、ちょっと世間知らずだったのか「あれね、じつは販売会だったのよ!」とおどろいたふうに言われました。うん知ってた。
そしてそのかたは、こう続けました。「それでね、買っちゃったの。色無地。20万」
買っちゃったんだ……。それって教室からしたら、いいカモなのでは……??
などとも正直おもってしまいましたが、いや、ほんとうに気に入ったものなら、いいんだともおもいます。そういうお買い物は、お金のあるひとの特権ですよね。
それでもわたしは、販売会という仕組みそのものにも、やっぱり無視できない違和をいだきます。

レッスンは初級が3ヶ月間でしたが、その後中級上級もそれぞれ3ヶ月ずつ続いて(ここまでが基本コース)、そのうえは他装や師範育成などにつながっていくようでした。
先生からは、上級までは最低でもやったほうがいい、と言われました。
だけど、こうしてときどき販売会が入るのは、ちょっといやだなあとおもいました。毎回休んでも角が立ちそうだし……。

それにいちおう初級だけでも最低限、長襦袢を着るところから一重太鼓を結ぶところまでは学べたので、それでひとまず満足したのもあって、けっきょくわたしは3ヶ月でそこをやめることにしました。

(ちなみに期末に小規模なパーティが催されて、これには参加したのですが、そのなかでレッスン中とくに熱心に取り組んでいたひとに、特別賞みたいなものが送られました。でもそれもよく見ていると、教室の系列店で高額なお買い物したひとに、さらにお買い物してくれるよう、割引クーポンを贈呈する、みたいなかたちのようでした。)

んで。

じっさい教室って必要なのか、という話ですが、わたしは現在、基本的にはいらないものだとおもってます。
わたしは情弱だったので、広告に飛びついてしまいましたが、いまどきはYouTubeにいい先生たちがいっぱいいるんですよね。そのかたたちが詳しく解説してくれてるので、わざわざ教室に行く必要はないとおもいました。やろうとおもえば、家でひとりで練習できます。
ただ、教室のメリットとして、おなじ趣味(着物)を持つひととつながれること、お友だちが作れることが挙げられます。
着物でお出かけする機会もたくさんあります。もちろんお金はかかりますが、申し込めば大抵だれでも参加できて、着物でお食事したり、ふだんあまり行く機会がないような場所に行けたりもします。しかも先生がついているので、もし着物が途中で崩れちゃっても安心です。
たくさんのひととわいわい楽しめるかたには、教室って向いているのではないかな、とおもいました。
(わたしは孤立型なので、それがむしろしんどくもありましたが……)

さいごに

以上がわたしのお着物教室体験でした。
ここでちょっとばらすと、教室はい○瑠さんでした。販売会についてすこしネガティブに書いちゃいましたが、じっさい一般のかたが聞いてイメージするような「大勢で囲い込んで買うまでとことん詰めて帰さない、グイグイ」ってタイプではないとおもうので(Xに書かれてあったとおり「販売会はあるっちゃあるけど、そこまでひどくない」これが正しかった)、そこをうまく切り抜けるなり、むしろ積極的に参加できるかたは、ぜんぜんアリだとおもいます!

でも、じぶんにかんして言えば、もし教室をえらぶまえに戻れるなら、もっと慎重に教室えらびをするべきだったな、とすこし後悔もしています。
もうちょっとカジュアルもOKなゆるめの雰囲気のところを探すべきだった。かっちり系とカジュアル系どっちがいいとか悪いとかいう話じゃなくて、ターゲットが、対象層がちがうんです。思想の話でもあるとおもう。
あとで知ったのですが、ほかにも地元の呉服屋さんで安価で教室をやっているところがけっこうあるようでした。
教室に行くのであれば、ちゃんと下調べして、それぞれで体験させてもらってからひとつに絞る、がいちばん堅実で賢いのかな、といまはおもいます。

(ちなみに着物の着方や手順ってじつはさまざまで、最終的に形になればいいだけなので、教室や先生によってやり方がぜんぜんちがう、なんてのはふつうにありえます。
だからあえていろんな教室に通って、いろんなやりかたを知って、そのなかからじぶんにあったやりかたを選ぶ、なんてひともいるみたいです。
各方面に余裕があれば、そういうのもいいですよね)

いろいろ好き勝手書いてきましたが、わたしもあれから紆余曲折あって、けっきょく完全な和洋折衷カジュアルというよりは、ちょっときっちりめな着方をさいきんはしているので、い○瑠さんで習ったことが活きているような気もします。

そんなかんじです。