さいきんB型事業所でわたしは、DM(営業メール)を送信する作業をしている。
すでにリストアップされている企業のホームページにアクセスし、お問い合わせフォームを見つけ出し、決められた文章や項目をコピペして送る。
『営業メール』と呼べばまだ響きはやさしいが、受け取り手からすれば、ことによってスパムメール、迷惑メールと判断されても仕方ないのでは、とおもう。
つまりわたしはいま、迷惑メールを大量に送信するお仕事をやっている、とも言える。
(なぜ人力なのかはわからないが、さいきんはreCAPTCHAなどがあって、ボットだと弾かれてしまうからかもしれない。)
わたしは比較的作業が早いようで、1日2時間で最低でも200件以上のホームページをまわる。
そのうちちゃんと問い合わせフォームがあって、ちゃんと送信できるのは、半分以下だとおもう。
1件ぶじに送信完了すれば、5円になる。フォームがなかったり、「営業メールお断り」と書かれてあったりしたら、メールは送れず、工賃は発生しない。なので、一般のひとから見れば、たいした工賃にはならない。(そもそもB型の平均時給は100~300円である。)でも、だからこそ1件5円という金額は、B型利用者にとっては、けっしてちいさなものではない。
先日Xで「ほんとうの底辺の仕事は、転売ヤーとか迷惑メールを発信するひとのことだとおもう」というポストを見た。
底辺。たしかにそれはそうなのかもしれない。
わたしだって、立派なお仕事だとはおもっていない、というか到底おもえない。送信のたびにすこし良心が痛んで、申し訳ない気もちになる。それにきっと送ったメールの大半は、まともに読まれずにゴミ箱に送られる。ほとんど意味のない仕事だ、とも、おもう。
でも、お金は、ほしい。仕事だって、したい。なのでそこはもう、割りきってやるしかない。そうして、かんがえるのをやめて、プログラムされたロボットのように、たんたんと作業をしている。その間、こころはすこしずつ、削られていく。
ほかにもいくつかお仕事はあって、請求書のデータ化作業なんかもあったりする。
これはルールに則って、画像のなかからそれらしい場所を見つけ出し、数回クリックするだけで完了する。
こちらはちゃんとした企業に送られる請求書を処理しているので、迷惑メールを送信するような罪悪感はない。
だけどこのお仕事は、1件につき0.5円とか1.何円とかの世界になる。
しかもときどき、正答しているのにまちがい扱いにされたりもする。委託元の会社のひとからしたら、1円以下の誤差なんて、どうでもいいとおもわれているのかもしれない。こちら(B型利用者)からすれば、工賃になるかならないかの、大事な数字なのに。
そういう意味で、なんとなく自尊心が傷つく。取るに足らない仕事をしている、という認識はある。
請求書や名刺のデータ化作業は、すでに半分くらいはAIが担っている。わたしたちの仕事は、その補佐的な立ち位置でしかない。きっとじきにぜんぶAIが判断してくれるようになるだろう。わたしたちの仕事は、風が吹けば飛んでいくような、軽くてちっぽけなものだとも、おもう。
「割りきってやるしかない」と書いたけれど、わたしはどこかで、割りきれていないのだとおもう。というか、割りきるべきだとおもうのに、どうやって割りきったらいいか、わからない。
どんな気もちでいれば、わたしのこころは晴れるのだろう。どういうこころもちでお仕事にのぞめば、こんな感情をかかえずに済むのだろう。