オリジナル小説「あるひとつの喪失」③完

【騒擾】
『学生らによる暴動 完全に鎮圧』
『オランピアの使用制限 無許可で解除か』
 そんな見出しが踊るネットニュース記事を、無言でスワイプして飛ばす。
 相乗りのクラティカのなか、座席にうずもれるようにしてアサギは、コフルの画面を消した。さしたる喧騒もないのだが、コフルづたいに聴覚のノイズキャンセリングモードをオンにし、周囲の音を完全に遮断した。目をつむる。
 たった数時間で、いちどは破壊されつくした街。しかし素材そのものの修復機能と高度な工法によって、一晩とかからずに完全に復旧した。もののみごとに平穏を取りもどし、ふたたび正常に動き出した街の景色。
 それを見るのが、たまらなくいやだった。
 あれからたった1週間しか経っていない。
 それなのに、まるでなにごともなかったかのようなひとびとの、なにげない表情、会話も、すべてが雑音のよう──あるいはアサギの胸をえぐる鋭い針のようにさえ、いまは感じられる。
 耳を覆い、目を覆って暗闇にひとりうずくまっていれば、なにもかもわすれられる気がした。
──そんなはずはないのに。
 人工の静寂に身をあずけたのもつかの間、コフルが到着の合図を知らせる。おもむろにまぶたをひらき、停止したクラティカから降りた。
 頭上では都市の天蓋が、どこまでも突き抜けるような、ごく淡い青から黄色のグラデーションを作っている。『朝の日差し』を模倣した光に、白く照らし出された校門の付近には、人影はひとつも見られない。登校にはまだ早い時間だ。
 鉄の仮面を貼りつけたように色のない顔でアサギは、ひとり校舎へとむかう。
 きょうからまた、仕事がはじまる。


【アサギとリスタ】
 長い体躯を折り、ひざから床にくずれ落ちるようにして、リスタは白いシーツの張られたベッドのマットレスにつっぷした。
 わきあがる苦しみ、としか言いようのない感情に、堪えきれず手のひらをにぎりしめる。
 広いとは言えない真四角の寝室。家具はベッドとちいさなサイドテーブルのみ。窓がわりの四角いパネルが、夕焼け色を映し出し薄く発光して、リスタの正面に濃い影を落としている。それがこの部屋の主の不在を強調しているようで、いっそう深い孤独が胸に鏤刻される。
 どれだけきつく歯を食いしばっても、嗚咽をおさえることができない。こみあげてくる熱い涙は、とどまることを知らず、こぼれ落ちる。あの日からいったい何度涙を流しているのか、じぶんでももう分からない。
「……あなたが」
 濡れそぼりながらもかすれる声で、どこへとも分からないことばを発する。
「おれを必要だって言うから……おれは『リエゾン』だったんだ」
 必死に痛みをこらえるように、あがく。不自然なほど伸ばされてあったシーツは、しわが寄ってぐしゃぐしゃになっている。
「どうして……?」
 その問いはもう、とどくことはない。
「なんでなんだ、キアロさん……」`


 政府機関が管理する黒い鳩の群れが、頭上を羽ばたいていった。
 それを見送ってリスタは、視線を前方にもどす。
 花のようにさまざまな髪の色を持つ子どもたちが、小学校の校門からあふれ出てくる。
 その波をかき分けて校舎へと近づく彼の足どりは、わずかにふらついていた。
 それを奇妙におもったのか、子どもたちのなかにいた教師とおぼしき女性が、「学校になにかご用ですか」と声をかけてきた。
 ようやくリスタは、客観的に見てその場にはそぐわないおのれの異質さに気がついた。内心きつくじぶんを恥じいる。それから、相手の警戒心を解くよう、なるべく声音を落ちつけて、「アサギさんに会いたいのですが」この星ではファミリーネームを持つ人間はごくわずかだから、この言い方しかできない。「取り次いでいただけますか」
 女性はまだなかば疑念をおびた表情で、「失礼ですが……」
 とそのとき、校舎のほうから、すらりとした男性の姿が見えた。黄色い髪を几帳面になでつけ、背広風の服に身をつつんだそのひとは、こちらに気づき、目を丸くしていちどその場に立ち止まった。またすぐに歩き出し、こちらへ迷いなく向かってくる。
「ああアサギ先生、このかたが……」
 そう言う女性をそっと手でさえぎって、了解したふうにうなずいた。
 目のまえにきたアサギは、凍てついたような無表情で、背の高いリスタを見上げる。
 視線を受けてリスタは、生つばを呑む。意を決して、言った。
「きょうは……謝りにきました」

 人工のちいさな丘のうえにある、木々や草花にかこまれた公園。ときおり散歩する者が見られる程度と人影はまばらだ。
 街のようすが一望できる奥の広場でリスタは、柵に身をあずける。天蓋が作る微風に、長い前髪がなびいて、まつげをかすめる。
 ここまで黙ってうしろをついてきたアサギには背をむけたまま、記憶をたどるように目をつむった。
「2年まえです」
 ぽつりと切り出したリスタの広い背をながめながら、アサギは軽く眉をよせる。あとにつづくことばを待つ。
「おれがキアロさんと組(クープル)を組むようになったのは。……4年まえまでは、あなたが彼のリエゾンだった。そうですよね」
 そう言ってこちらをふりかえったリスタに、アサギは無言で肯定した。
 遠くで、子どもたちのはしゃぐ声が風に乗って聞こえてくる。
「なぜあなたがリエゾンをやめたのか……おれは以前から、すこし分かるような気がしていた」
 リスタは、目を伏せたままぽつぽつと話す。その声音には、ふしぎなほど感情の色が見られない。葬儀のときにあれほど感情的になってじぶんを責めた彼と同一人物とはおもえず、アサギは妙に浮わついたここちがした。あたりのおだやかな景色と相まって、なんだか現実味がない。夢でも見ているかのようだ。
「オランピアを操るとき、ラブラールとリエゾンの脳は接続されている。見るもの、聴くもの、さまざまな感覚を共有して……そうして2人でひとつになって、戦う」
 そこまで言って初めてリスタは、苦しげに顔をゆがめた。
「だから余計に怖いんだ──目のまえで、相棒をうしなう瞬間が」
 アサギはまた無言で、うつむいた。
 水のなかであえぐようにリスタはことばをしぼり出す。「おれはキアロさんを死なせたくなかった。死なせないために、自分ができることは最後までやりとげようと、いつもおもっていた。じっさい、それができていた……あのときまでは」
 骨ばったおおきな手で顔をおおう。影のような色の髪が、揺れる。
 アサギのほうは、からだの真ん中で心臓がはねる。と同時に、背中では血の気がさあっと引いて、全身は氷水に浸けられたように底冷えする。
 あの日起こったことを、きっとまだだれも理解できていない。この星に住まう者はみな等しくそうだろう。もちろんアサギも、リスタもそうだ。
 ことの表面だけ見て端的に表現すれば、あれは『暴動』だった。ふつうの騒擾とちがったのは、それが10代の学生たちによって引き起こされたものであったこと。もっと言えば、それを起こした理由も、目的すらもわからなかった。
 はっきりしているのは、彼らは『武器』を持っていた。対人には使えないはずのオランピアである。それでもって、ひとを殺した。
「あの子たちは、国会議事堂で議員を2人殺したあと、街を破壊しはじめた」
 リスタが、低くうめくような声で、つづける。
「おれたちは、どうすればいいかわからなかった……」
 相手がオランピアを持っているからというだけで、その専門家である操縦士が対応しなければならなくなった。だが本来操縦士は非人間(ニューロ)を相手にした訓練しか受けていない。
 子どもたちはみな一様に、まるでなにかにあやつられているかのように、うつろな表情で、ためらいなく人間を攻撃した。おとなの操縦士側は防戦一方で、それでもどうにか彼らを傷つけずコントローラを壊し、無力化させなければならなかった。
 彼らはみなその日まで、ごくふつうに学校に通う、平凡な子どもたちだったという。以前から極端な思想に染まっていたわけでもない。それが突然、いっせいに行動を起こした。なんのことばもなく。かけ声も、合図すらなかったようにおもわれた。
 あとでわかったことだが、長年鉄壁をほこっていたはずのオランピアシステムが、いつのまにか外部からの侵入を受け、対人使用が可能なようにいちぶが書き換えられていたそうだ。
 都市はいつ外部(ニューロ)からの侵攻を受けてもいいよう、非常事態への備えをしていたため、民間人の避難は比較的スムーズに行った。いっぽうで内部からの攻撃は、ほとんど想定していなかったと言っていい。それが対外用の武器であるオランピアを用いたものであればなおさらだった。
「ほんとうに、なにが起きているのかもわからない混乱のなかで、おれたちは行動していました。敵を倒すためじゃない、子どもたちを救うためです」
 どうにか向こうからくりだされる絶え間ない攻撃をしのぎ、そのコントローラを壊すと、操縦者の子どもは、糸が切れたマリオネットのように、その場に倒れこんでしまったのだった。
「しかし……元リエゾンのあなたならご存知でしょうが、リエゾンは前線には出ないが、その身に危険がないわけではない。あのときは特に、敵によるオランピアシステムへの干渉があり、『混同(コンフィズィオン)』が起こりやすかった」
 コンフィズィオン。ラブラールとリエゾンにとっては、なじみ深いことばだ。オランピアを操縦するからには、切っても切れない。
「──キアロさんが使うオランピアが受けたダメージを、おれの脳は、じぶんが受けたもののように錯覚、誤認した。そうして、おれは……気をうしなった」
 オランピアの接続方法は、複雑にして怪奇である。ただラブラールがディーデリヒに思考を送信してうごかしているわけではない。そういう、一方通行のものではない。リエゾンもからんで、回線は3者のあいだを入り乱れている。そのせいで起こる誤作動を、コンフィズィオンと呼ぶ。これはラブラールにも、リエゾンにも起こりうる現象だ。
 たとえば、ラブラールがオランピアで盾をつくって相手からの攻撃をふせぐ、というのはよくあることだが、そのさいオランピアは攻撃によって傷つけられる。すると接続している人間の脳が、誤謬する──まるでじぶん自身がダメージを受けたかのように、錯覚する。ヒトの脳は案外いいかげんなものだからだ。特にオランピアに接続していると、自他の境があいまいになる。どこまでがじぶんでどこからがパートナーなのか、あるいはオランピアなのか、分からなくなってしまう。そうして気絶したり混乱状態におちいることが、多くはないが、起こりうる。
 きつくくちびるを噛むその姿にアサギは、また彼が泣き出すのではないかとおもった。だが彼は浮かんだ涙をふりきるように、またアサギに背をむける。「オランピアは」と、いまにも消えそうな声で、あとにつづくことばを、か細くつむぎだす。「基本的に、リエゾンがいなければ動かせない。リエゾンの脳を介さなければ──そしてオランピアがなければ、ひとびとを守れない。おれという仲介役をうしなったキアロさんは、わらにもすがる思いで──以前のリエゾンであるあなたに連絡した。……そうですね」
 そのときアサギは生徒らとともに緊急時の避難用シェルターにいた。ほんとうなら、その場を離れるべきではなかった。それでも、
「アサギさん、あなたはすぐさま彼の要請に応え、緊急用のシートへと向かい、接続。そして、彼とともに戦った……」
 泥の沼にしずんでいくかのように、視界が黒く染まる。あのときのキアロの声、あきらかに緊迫した状況──懇願。それを聞いて、せっぱつまったおもいに駆られた。ほとんど衝動だった。キアロをうしなうこと、それだけがただただおそろしくて、気づいたときには、避難所を飛び出していた。
 だが、その選択こそ、まちがいだった。
「のこっていた最後のデータ、見ましたよ。映像も音声もすべて」
 ふたたびアサギのほうを向いたリスタは、欄干に軽くもたれ、長い手足を持てあます。顔をゆがめるように、どこか皮肉な笑みを浮かべて、言った。
「あなたの補佐は完璧だった」
 柔弱な風がふたりのあいだを通り、木々の枝をランダムに揺らす。一枚のみどりが舞い落ちる。
 リスタの発することばを、アサギはもう聞きたくなかった。
「あなたが最後の敵に気づけなかったのは……それがあなたのかつての生徒だったからだ」
 そうだ。
 だとしても。だからなんだと言うんだ。
 耳をふさいでしまいたかった。
 そのつづきは、聞きたくない──。
「あなたの落ち度じゃない」


 冷たい。
 薄いシャツ越しに、水をはっていない空のバスタブの温度が、するどく伝わってくる。
 異様な疲労感に耐えかねてアサギは、その中にからだをしずめている。
 あたまのほうにある正方形のちいさな窓のむこうには、夜のとばりが降りた天蓋。それをぼうっと見上げていると、なぜだかきょうは無性にそれが窮屈に、薄気味わるかんじられてきた。
「あのひとは、自分勝手でずるいひとだった」
 さきほど公園でリスタは──やはりアサギの予想どおり──こらえきれないようすで、ぽろぽろと涙をこぼしはじめてしまった。
「おれのこと『全宇宙一信じてる』って言うくせに、きっとほんとうはどこかであなたのこと、わすれていなかったんだ」
 彼自身、おのれがかかえる複雑な感情に対処しきれていないようだった。
「なんにせよ、あれはあなたの落ち度じゃなかった」
 深海で息をしようとあがくように、リスタは強くくりかえした。
 だが──そんなことばがほしいわけじゃない。アサギは冷静に首を振った。
「いいえ。わたしのミスです」
 それがかつての生徒だと、すぐに気づいた。
 だから、油断をした。
 とっさに、『守るべき対象だ』とおもいこんでしまった。
 あの子は右腕にディーデリヒをはめ、オランピアで武装していたのに。
 それに気づくのが一瞬、遅れた。
「あの子が近づいていると知りながら、キアロに情報を送らなかった。警戒をうながしていれば、きっとキアロは──」
 リスタの足元に視線を落としながら、そのうちじぶんでもなにを見ているのかよく分からなくなる。
 あの子が放った真っ黒なオランピアが、キアロの背をつらぬいた瞬間。胸から腹部がはじけ、あふれでる鮮血の赤──まるでキアロの髪の色のような鮮紅色。間髪いれずに耳元で鳴りひびいた警告音、ラブラールの心拍が、完全にうしなわれたことを示すそれ。
 アサギは立ち上がらなかった。『リエゾンはなにがあっても席を立ってはいけない』。遠方にいるラブラールのもとへ駆けつけるひまがあるなら、その場にとどまって全力で補佐をつづけ、救命措置をするべきだからだ。
 とはいえ、いずれにしても、じっさい手のほどこしようはなかった。心臓は完全に破裂し、内臓の多くが一瞬で損壊した。現代の医療をもってしても、たすけられる範疇を超えていた。即死だった。──あるいはくだんの『条約』がなければ、生きかえらせることも可能だったのか? 医療の専門家ではないアサギには分からない。
 あの日あの瞬間からずっと取れることのない、思考のフィルター。半透明の分厚い膜をへだてているかんじ。もやのかかった薄闇のなかで、じぶんの指すら見失ってしまいそうな感覚。
 それでもアサギは、いま現在分かっているだけの『事実』を、ただ淡々と告げる。
 すべては、おれのせい。なにもかも、おれのミス。
 そのとき「くっ」と息を呑む音が漏れ聞こえ、はっとして弾かれるように目線をあげた。そのさきでリスタは、まだ幼さすら残る顔を一層くしゃりとさせて、
「あなたを責める以上に、おれはじぶんを責めた。でも……」
 ふるえる声で、言い切った。
「だれを、どれだけなじったって……キアロさんは帰ってこないんだ」



「キアロ」
 寮の部屋をたずね、そう呼びかけたとき、彼はいつもどおりのにやけ顔で、いきおいよくこちらをふりむいた。
 なぐられるだろうか。あるいは、きっとものすごく怒って、泣きわめきさえするんじゃないか。そんなことをかんがえつつ、それでもアサギは覚悟してこう告げたのだった。
「おれは……おまえのリエゾンをやめるよ」
 なやみになやんだすえの結論だった。
 キアロを守りたい。あたうなら、さいごのそのときまで。しかし、その想いよりももっとずっとおおきな重圧に、負けた。
 目のまえでキアロが殺される。それが、ただひたすらに怖かった。
 アサギのことばを聞いた瞬間、その顔から、温度のある笑みが消えた。一瞬どきん、と鼓動が止まった気がした。その眸から、もし涙がこぼれたら、きっとまたじぶんも泣いてしまう。そんな予感がした。
 だがアサギの予想はどれもおおきくはずれた。
 ただしずかに──まるでアサギの苦悩などすべてお見通しだった、とでも言うように──キアロはつぶやいた。
「だとしても……おれのリエゾンは、おまえだけだよ」
 ほとんど無表情にも見えるその顔のなかに浮かんだ、無数の感情。それはきっと長年彼といっしょに過ごしたアサギにしか分からない、読みとれない色だった。淡白で、それでいて複雑な、迷路のような……。



 暗い色を写す窓ガラスに、ぽつりとしずくがついた。
 天蓋がときおり、ほとんど気まぐれに降らせる、人工の雨。きょうはその日だったかと、アサギは浴槽から気だるげに立ちあがる。窓を閉めようと手を伸ばす。
 ふいにさっきリスタから投げかけられたことばをおもいだし、その手を止めた。
「……なんで、なんですか……?」
 その声にはもう、アサギを責める色はなかった。それよりも、ほんとうに喉から手が出るほどそのこたえを欲しているというように彼は、
「どうしてあなたは──」
 そうなにか問いかけて、はっと口をつぐんだ。たずねるべきではないととっさに判断したのだろう。
 だが、そのことばのつづきはアサギには分かった。
 なぜこんなにも平然としていられるか?
 彼はそう訊きたかったにちがいない。じぶんでも、ときどきふしぎにおもう。
 窓の冷えた取っ手に指をかける。
 記憶のなかのリスタに、アサギは訊きかえす。
──どうしてきみはもう、そんなふうに泣けるのか。
 しかしそれも当然なのかもしれない。彼とアサギとで1点だけ、明確なちがいがある。
──おれたちは、あの瞬間までひとつだった。血のぬくもりさえ、消えていくあいつの温度さえ、まだわすれられていないのに。
 アサギはそのまま手を下ろす。
 10センチほどひらいたままにした、ちいさな窓の下、ふたたびバスタブのなかに身をよこたえる。目元をおさえ、長く息をつく。
 ひどく疲れている──それでもきっと、今夜も眠れないのだろう。


【リスタ】
 公園の広場では、日が落ち小雨が降り出してなおたたずむ暗晦な影がある。
 欄干にもたれる長いそれは、うつむき、いつまでも澄み切った涙を落としつづける。
 いつか聴いた彼のことばが、胸のなかでこだまする。
──おれのリエゾンは、おまえだけだよ。
 雨を降らせているにもかかわらず、きらめく星々さえ映し出す、うすら寒いにせものの空を尻目に、リスタは声をあげて、泣く。


(完)

... 2025.01.08
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